就活で応募する会社を選ぶとき、本気で福利厚生の充実度を重視している人って本当にいるんでしょうか?
ちょいちょい「充実度ランキング」とか「ユニークな福利厚生制度を持つ会社」といったランキングサイトが見つかったんでこの記事を書いたというのは事実ですが(笑)、考え方としても、現実的な見方としても、福利厚生制度をチェックすることは時間の無駄なので、今すぐやめましょう。
現実論:あっても利用されない福利厚生
なぜ福利厚生をチェックする必要が無いかというと、入社すると案外使いにくいことに気が付くからです。
その理由は大きく分けると3つあって、手間がかかる・お得じゃない・使える状況にない、というものです。
手間がかかる
よくある福利厚生の代表格は、カタログギフトみたいなやつ。
会社が毎年3万ポイントだとかを従業員に付与して、そこから好きなメニューを選んで購入することができるというものです。ベネフィット・ワンが有名ですね。
これ、ほぼお金をもらってるのに近いので一見嬉しく感じるんですが、案外使わないんですよ。
専用サイトに行って、会社のIDとパスワードを入れてログインして、メニューから商品を選んで購入する。ただこれだけなんですけど、今やAmazonや楽天が便利になりすぎて、あのシステムに慣れていると、ものすごい手間に感じちゃうんです。
で、サービス運営会社としては、会社から会員費さえ受け取れればサービスが利用されない方がお得なわけですから、Amazonほど頑張って操作性を改善しようっていう気にもなりませんしね。
お得じゃない
カタログギフトをもらったことがある方なら分かると思いますけど、基本的に高いと感じます。
タダでもらってるポイントとはいえ、Amazonで7000円で売ってる商品なのに、福利厚生プランだと1万ポイント必要だったりすると、「なんかもったいない」と思って躊躇しちゃうんです。
すると、結局ズルズルと使わない…ということが起きます。
使える状況じゃない
これは特別休暇とかリフレッシュ休職プランみたいな福利厚生プランの場合の話です。
そもそも、有給消化率100%というサラリーマンがほぼ皆無と言える中で、それ以上休暇を増やしてどうするんでしょう?(笑)
そして、別の記事でも紹介しているとおり、ネットに出回る有給消化率ランキングもアテになりません。
有給を取らない理由は「忙しい」とか「職場内での居心地」といったことが理由なので、福利厚生制度があったって、同じ理由で使わない人がほとんどであろうことは予想できますよね。
また、育児休暇からの復職の難しさが社会問題になるぐらいですから、長期休暇からの復職だって職場に与える影響は同じです。
「1ヶ月も休んだら、職場復帰した後が大変そう…」というイメージから、使うのを躊躇ってしまいます。
結局、「会社は福利厚生制度を用意してあげますよ!使わないのはアンタの勝手です(笑)」というのが実態です。
僕が勤めた3社の福利厚生制度にまつわる思い出
僕が勤めてきた3つの会社にも、ユニークではありませんが福利厚生制度はありました。
あまり上手く行ってるようには思いませんでしたが、特に印象的な2つの出来事を紹介します。
利用者低迷でポイント制度廃止、全社運動会になった
ある会社では、前述のカタログギフト系の福利厚生制度が用意されていました。
しかし、利用率が20%以下だったとかで廃止に。
で、浮いた予算でなんと外部会場(それも一流アーティストがライブできそうなw)を貸切り、司会進行もプロに依頼するような全社運動会が開催されることになりました(笑)
もちろん日曜日の開催です。
得てしてオジサン達は「一体感が生まれる!」とかいって盛り上がるんですよ、こういうの。
福利厚生なので強制力があるわけないのに、部署レベルでは「全員参加」という指示が出たところも多かったようです。
僕はこういう趣味は無いのでもちろん不参加。
上司はご機嫌ななめでしたが、これじゃサービス休日出勤ですからね…。
1万円分のポイントが貰えるのに、2時間で終わる健康診断を受けない
別の会社も、ポイント制の福利厚生制度がありました。
ここでは従業員があまりに忙しく、年1回会社が受けさせないといけない健康診断の未受診者が多いことが問題になっていました。そこで、受診率の改善を狙って、「健康診断を受けないと1万ポイント分を支給しません」というルールができました。
ちなみに、この会社では社内で一斉に健康診断を行うのではなく、各自で提携病院に予約をして好きな日時に行くという仕組みでした。なので、「健康診断」という名目で1日出社しないことができて、しかも健康診断なんて最短2時間ぐらいで終わります。
僕からしてみれば「有給の日数が減らずに、しかも1万円もらえる休暇」なのですが、それでもやらない人がいる。
カタログギフトの使いにくさ・お得感の無さ・忙しさなど、理由はいろいろ考えられますが、これが実態です。
考え方としても間違っている
そもそも会社選びは、「あなたがどんな仕事をしたいか」で選ぶべきものです。
会社を福利厚生制度で選ぶことは、結婚相手をお金で選ぶことと似てるかもしれません(笑)
もっと先に考えるべき事が山ほどあるので、そっちを先に考えましょう。
だいたい、福利厚生制度で1ヶ月間休めたとして、そこでやりたいことはイメージできますか?
まとめ:どうせ使わないんだから、チェックするだけムダ
このように、入社すると福利厚生制度って案外使われないものです。
たしかに給料+αで何かを得られるように感じるので、意識してしまう気持ちは分かりますけどね。
あくまで会社選びは「自分の一番得意なこと・好きなことを活かせる」ことを最優先に考えた上で、そこから出てきた会社の福利厚生が充実していたらラッキー、というぐらいに捉えましょう。