この数ヶ月、キャリアカウンセラーの勉強をしているわけですが、その中で最近のキャリア教育について知る機会がありました。
最近は中学・高校あたりで今後のキャリアを見据えた授業の一環として、職場体験やインターシップのようなことをしているそうです。僕が中高生だった頃にはまったく無かったので、この15~20年でずいぶん変わったんでしょうね。
一歩前進と感じる一方で、仕事を知る前に「なぜ働くの?」という疑問を解消する必要があると思うんです。
ネットの発達により、今や就職や独立開業をしなくてもお金を稼ぐ人達が数多く現れました。
しかも、お金を稼がなくても幸せに生きている人まで話題になる時代になりました。
このような現実も教えた上で、「それでも私は働きたい」と学生自身が言えるようにすることが、キャリア教育の使命だと思います。
「あなたが働く目的は?」という問いに「私が…」で答えられますか?
今や大学進学率は50%を突破し、ほとんどの学生は平均80社の会社を回る、過酷な就職活動をしています。
つまり、そこまでしてでも「どこかの会社に就職して働かないとダメ」と感じているということです。
ところが、「なぜ就活して、会社で働くの?」と聞いて、スパッと「自分が◯◯するため」と答えられる学生はほとんどいません。
というか、働いている大人でも難しくないですか?
なのに、その目的を考えることなく「働くのが当たり前だから」と考えてしまうから、就活で80社回っても全滅したり、働くことにストレスを感じたり、せっかく就活頑張っても3年以内に3割の新入社員が辞める現実があったりするわけです。
雇われて働く以外の選択肢を考えさせてみる
「なぜ働く?」という質問に対して、よくある答えは「生きるため」、「お金のため」、「家族を養うため」、「社会貢献・社会への還元」あたりですが、これって別に会社で働かなくても実現する方法はありますよね?
- 自分や家族が生きるだけなら、自給自足の生活をすればいい。
- 社会貢献がしたければ、ボランティアしてればいい。
- お金が欲しければ、自営業という手段もある。
- なんならブログやYouTubeでお金を得ることすらできる。
…いや、分かりますよ。
現代人の大半にとって自給自足生活なんて無理でしょうし、ボランティアじゃ生活費を稼げませんし、自営業もブロガーもセンスが問われます。
でも、「自給自足で幸せに生きることは自分には無理だから、働くという選択肢を選ぶ」という整理がつけば、「なんとなく働かないとダメそうだから」と考えるよりは、よっぽど働く意味を自覚できると思います。
逆に、「自給自足生活できそうだし、会社で働くより楽しく生きられそう」と思う学生がいるのなら、そうした方が本人にとっても、会社にとっても幸せです。
また、「自分には独立開業する方が向いてそう」と思える学生が出てくれば、無理に就職するより幸せな人生になるかもしれません。
そこで、キャリア教育の一環として、そんな多様な生き方を学生に考えてもらうのはどうでしょう?
幸せを満たせる一番ラクな方法を探す
自給自足生活:安定と贅沢に興味がなければ幸せかも
なんだか歴史の授業みたいになってしまいますが、数百万年前に人類が誕生してから相当長い間…というか、今でもヒト以外の全ての動物は自給自足で生きています。
自給自足生活の弱点を考えると、「狩りに出かけても返り討ちに遭う」・「気候や季節によっては、食料が確保できない」、「自分が病気になると、食料を得られない」など考えられますが、そんなことを気にしない人であれば、案外楽しいかもしれませんよね?
「特にやりたいことはない」と思っているなら、わざわざ就職活動でストレスを感じるよりも、自給自足生活をしている方が幸せかもしれません。
また、集団生活を前提にすればリスクもかなり低くなります。
実際、世界各地にはまだまだ自給自足生活を送る部族がありますし、最近フィリピンの部族と暮らすようになった日本の高校生も話題になりました。
極端な例ですが、本人が幸せならそれでいいんですよ。
そういう可能性がある以上、メリット・デメリットとともにこういう選択肢があることも教えるべきだと思います。
そして、「自給自足で幸せになるわけがない!」と思ったとしたら、そこに働く目的が隠れているはずです。
ボランティア・非営利事業:今や衣食住が充実したホームレスだって成立する
さすがに狩りをして、自分で雨風を凌ぐための家を作って、毛皮や葉っぱを身にまとって、人里離れて生活する…というのはなかなか難しいですよね。
では、現代人的な食事をし、ちゃんとした建造物としての家に住み、一般的な洋服を着て生きていくためにはお金を稼がないといけないのか?
答えはNoです。
要するに、「今日はおごるよ」・「今夜はウチに泊まってきなよ」・「これ着なくなったから、あげるよ」と言ってくれる人が身近にいれば、お金無くても現代的な暮らしはできるんです。
クラウドファンディングで、働かずにお金を集めることだってできますしね。
※もちろん、出資してもらうためには相応のアイデアが無きゃダメですが。
いや、もちろん極端な例であることは分かっていますが、やはりこれも実例がいらっしゃいます。
仕事・お金・家を持たずに生活してきた、坂爪圭吾さんとか。
※最近、家は持ったようです。
ホームレスなのに海外旅行をしたり、結婚式を挙げた、ホームレス小谷さんとか。
※厳密には日給50円で働いてます。
繰り返しますが、もの凄く極端な例ですし、学生が「ホームレス小谷を目指すんだ!」と言い出したら先生としても困っちゃうでしょうが、「だったら、生活に必要なものを提供してもらえるような、他人に感謝される人になりなさい」とでも教育的指導をすればいいんです。
さらに言えば、大半の学生は本気でそんな生活を目指すことはないでしょう。
だったら、彼らが選びたくなる、もう少しラクな方法を提示すれば良いんです。
自営業:自己管理さえできれば、ネット活用でリスクはかなり抑えられる
一般的なお金を使った生活をしつつも、会社に雇われない方法は自営業。これはイメージしやすいですよね。
でも、今は「独立開業」なんて言っても、パソコンとネット環境さえあればビジネスは始められます。
どんなビジネスでもそうですが、自分が他の人よりもちょっと得意なこと・詳しいことがあれば、それをサービスとして提供したり、教えたりすることで、対価を受け取るビジネスが成立します。
僕自身、10年間サラリーマンやってきましたが、今では1つのブログから始まったビジネスで生計を立てています。
自分の得意なことや詳しいことは、好きなことであることも多いです。それが活かせる仕事は、必然的にやっていて楽しい仕事ということになります。
そういう才能があるのなら、才能を活かせない会社で働くよりも楽しくイキイキした暮らしができますよね?
逆に言えば、「他の人よりちょっと得意なこと・詳しいこと」を見つけることが、幸せな生き方につながります。
デメリットがあるとすれば、「ちゃんと仕事しろ!」と言ってくれる上司がいませんからサボリ放題。時間を自由に使える反面、サボリ癖が付いたら最後、お金を稼げなくなることぐらいです。
会社に就職:幸せに生きるためには最も効率が悪い、最後の手段
極端な言い方をすれば、会社に雇われて働くということは、「会社の株主や経営者の幸せのために、人生の一部を捧げる」ということです。
雇われて働く場合、「会社に与えられる仕事の内容+報酬」と「自分が幸せを感じることが重なる度合い」が、幸福度を左右します。
ですから、「会社の仕事が楽しくて仕方がなくて、残業も休日出勤もお構いなし。だって休日に他のことをするより、仕事が楽しいんだから!」という人が幸福度100%。
または、「給料で買える幸せ>仕事をすることで失われる幸せ」と考えられる人も幸福度100%です。
ということは、給料が安い・残業が多いとぼやいている人や、休日が待ち遠しいと思っている人の幸福度は100%ではないということです。
「幸せ」の定義を決める
さて、ここまで「幸せ」だの「幸福度」と言ってきましたが、それがどれぐらいなのか分からないことには、果たして自給自足で幸せなのか、年収1億でも幸せになれないのかが分かりません。
漠然と「年収1,000万欲しい!」と思っている学生には、「1,000万円使って何をしたいの?」を考えてもらいましょう。案外、400万とか600万で済む幸せかもしれません。
だったら、何も競争の激しい高年収企業を目指して就職活動する必要も無ければ、バリバリ働いて稼ぐ必要はないですよね。浮いた時間と体力を、やりたいことに回した方が幸せです。
「不自由の無い生活をしたい」という学生には、「何があれば不自由では無いのか?」を考えてもらいます。
前述の通り、「現代的な衣食住」だけが目的であれば、就職どころか仕事すらしなくても確保できている実例があるんですから、採算度外視で「自分がやりたいことで、他人に感謝されること」をして生きていくことだって選択肢としてはアリなんです。
まとめ:働く目的を理解するために、自給自足や幸せなホームレスの選択肢も見せるべき
だいぶ極端な考え方も紹介してきましたが、「就職なんてするな」と主張するつもりはありません。
ただ、何も考えず、無条件に「働かないとダメだから働く」と考えてしまうと、働く意味を見失い、就職活動に失敗したり、早期退職につながったりしてしまうわけです。
- 自給自足生活では幸せが足りない or 自分にはできない。
- 衣食住が充実したホームレスでも幸せが足りない or 自分にはできない。
- ネットを活用した自営業でも幸せが足りない or 自分にはできない。
- だったら、必要な幸せを確保するため or 自分に他のことはできないから、就職する。
このように、自分に必要な幸せの度合いと、就職しなくても得られる幸せを見比べた結果として、学生自身が「これぐらいの幸せが欲しいから、自分は就職するんだ」と言えるようにすること、これがキャリア教育で教えるべきことではないでしょうか?