「残業が少ない会社ランキング」
就活をしていると、一度ぐらいは見たことありますよね。
突然ですが、「残業時間ゼロ」ってどんな状態だと思いますか??
そのひとつは、「毎日9時に出社して、18時に定時退社している」状態。
しかし…。
あくまで、これは「ひとつのパターン」に過ぎないので、騙されないようにして下さい。
「残業時間ゼロ」と「1日も残業していない」とは別物です。
残業時間に潜む6つのワナ
あらためて、残業が少ない会社ランキングを見てみましょう。
上にも書いたとおり、ランキングで残業時間がゼロといっても、「1日も残業をしていない」というわけではありませんからね!
そこには以下の6つの理由があります。
- 端数の切り捨て
- フレックスタイム
- サービス残業
- 半人前残業
- 自主的な早出
- 仕事のお持ち帰り
今回は、端数の切り捨てと、フレックスタイムに潜むワナの2つを紹介します。
残りは、後編で説明しますね。
端数切り捨てで、15時間の残業がゼロになる
これは「1時間未満の残業なんて認めない」というやつです。
これだけで月10~15時間分はみんな働いているのに、見かけ上の残業をゼロにすることができます。
たとえば、就業時間が9~18時の会社で、毎日18:30までキッチリ仕事をして、そこから片付けを初めて18:45に退社しているとしたら、毎日30分残業をしていることになります。
これを1ヶ月やれば10時間ですよ。でも、会社が認めなかったり、誰も申請しなかったら残業ゼロです。
そしてもうひとつ、残業ってキッチリ30分刻みとは限りませんよね。もし40分残業すれば0.666…時間になります。
ここで「30分未満の端数は切り捨てる」みたいなルールがまかり通っている会社があります。つまり、毎日約40分残業していても、0.5時間分しか付けさせないということです。
なんだか値引き交渉みたいな響きですが、塵も積もればなんとやらで、結構デカいんですよこれ。1日10分としても、20日間やれば200分=3時間20分です。
ちなみに、ルール上は端数を1ヶ月分合計した上で、そこから30分未満を切り捨てるのはOKです。なので、10分×20日間の場合は、3時間分は認めないといけないということです。
こうして、実際は月15時間ぐらいの残業が発生しているのに、「たかだか1日1時間にも満たない話で上司と議論するのもバカらしい」と言って、みんな受け入れてしまう結果、「残業ゼロ」ということになっているんです。
ちなみに僕はというと、10分レベルの議論はバカらしいと思うので、残業する時は00分か30分にキッチリと仕事を終えるようにしていました(笑)
フレックスタイムに潜むワナ
フレックスタイムという言葉は聞いたことがあると思います。会社案内に明記されていることも多いですよね。
会社が指定する「コアタイム」の時間帯に勤務していれば、始業時間・終業時間は自由に設定していいという制度です。
フレックスタイムの基礎
一例としては、10時~15時をコアタイムとして、1日8時間の就業時間をどう設定してもいい、というものです。
たとえば朝6時に出社して、1時間の昼休みを挟んで15時に退社するとか、10時出社で19時退社、7時半出社で16時半退社でもOKです。
フレックスタイムの応用
実はこれには応用編があって、10時出社で15時退社をしてもいいんです。
この場合は、昼休みを挟んで4時間勤務になっちゃいますよね?
その代わりに別の日で4時間分多く働くことで、1ヶ月分の就業時間のつじつまを合わせるんです。
極端な話、月初めの1週間は毎日10時出社で15時退社、次の2週間は9時出社で18時退社(定時)、最後の1週間は8時出社の21時退社、というような働き方でもいいわけです。
…まぁ、制度上の話であって、ここまで極端な例を認めてくれる会社は少ないと思いますけど。
フレックスタイムの悪用(汚いですけど、合法です)
で、この仕組みは会社の都合の良いようにも使えるんです。
どういうことかというと、まず仕事が忙しい時期はガリガリ残業させる。
1週間(=平日5日間)、日付が変わるまで深夜残業。すると6時間(18時~24時)×5日=30時間分の残業をしたことになります。
※ちなみに、法律上は夜にも休憩を入れる必要があるので、実際に休憩していたかどうかに関係なく、無条件にこの休憩時間の1時間を差し引く会社もあります。この例だと、1日の残業時間が5時間になります。
そして仕事が落ち着いたら、「お前ら早く帰れ」と言って、たとえば16時に帰らせるわけです。
たとえば、その月の残り3週間(平日15日間)は9時~16時の6時間勤務にすると、2時間(16時~18時)×15日=30時間分が差し引かれて、「その月の残業時間は0時間」ということになります。
いくら2週間はちょっと早く帰れるとはいえ、1週間ぶっ続けで夜中まで残業していたという事実は、「残業ゼロ時間」という言葉のイメージとはかけ離れていますよね?
まとめ:残業0時間、サービス残業皆無。それでも深夜残業できちゃうカラクリ
端数切り捨ては、ちっちゃいですけどサービス残業です。
でも、フレックスタイムを使いこなすと、「残業0時間でサービス残業無し」という表現でも、嘘をつくことなく深夜残業ができちゃうんですよ。
まぁ、フレックスタイムならこの例だと3週間は早く帰れますし、深夜残業の割増分(例:22時以降の残業は25%の追加手当が出る)はしっかりもらえるんで、お金目当てであれば損はしてません。
ただ、あなたが「夜中まで働くとか無理!」というタイプなのであれば、残業時間ランキングで会社を決めちゃうと、後悔することになりますよ。