前回の記事では、フレックスタイム制を使うと「残業ゼロ時間なのに、1週間ぶっ続けの深夜残業をした」なんていうことが起きる、ということを説明しました。
「残業時間ランキングに潜むワナ」の後編は、みんな大好きサービス残業のお話です!(笑)
でも、皆さんが思い描くアレ以外にも、実は多くのサラリーマンは、みずから進んでサービス残業をしているんですよ。
しかも、本人達が気付いていないことがほとんどです。
というわけで、今回ご紹介するのはこの3項目です。
- 半人前残業
- 自主的な早出
- 仕事のお持ち帰り
サービス残業とは
「サービス残業」という言葉は説明不要ですね(笑)
皆さんご存知、ブラック企業の代名詞みたいなやつです。
一応書いておくと、残業しないと到底終わらないような仕事を与えておいて、実際の勤務時間よりも少ない時間で申告させたり、ひどい場合は定時退社したかのように申告させて、残業代を支払わないことです。
言うまでもなく、法的には完全にアウトです。
実はみんなやってるサービス残業
でも最初に書いたとおり、実は多くのサラリーマンが自主的にサービス残業してるんですよ。
しかも、彼らのほとんどには「自分は残業している」という意識をまったく持たずにやっています。
「そんなバカな」って思いますよね?
では、具体的にどういうことか説明します。
半人前残業
新入社員に一番ありがちな例はこれです。
ちなみに、「半人前残業」というのは僕が勝手に作った言葉です(笑)
上司から「まだ1人前じゃないんだから、残業時間分の仕事はしていないだろう。」などと言われ、残業時間を少なくするように指示されるパターンですね。
でも、これも100%残業を認めないと違法です。
たしかに、経験豊富な社員がやれば定時内に終えられる業務でも、経験の少ない新入社員は残業しないと締切に間に合わない、ということは当然あります。
ただ、新入社員に仕事を振っている時点で、そんなことは織り込み済みなんですよ。
また、同じ仕事を2人の新入社員に与えたとして、1人が定時内で仕事を終えて、もう1人が残業していたとしても、残業代は払わないといけません。
なぜかというと、能力の差は成績で差を付けるべき部分で、勤務時間に応じて支払われるべき残業代とは関係がないからです。
極端な話、サボっていても残業代は出さないといけないんです。これは、上司が帰らせるとか、成績を下げる・懲戒処分にするだとか、そういう対応をするべき問題なんです。
自主的な早出
これも新入社員は半強制になっていたり、ベテラン社員でも意識が高い人はやってますよね。
これは、その日の仕事をスムーズに行うために、始業時間より早い時間に出社して新聞を読んだり、メールチェックしたりすることです。
ビジネスパーソンとしてはとても優秀な行いで、決して悪いことではありません。ただ、これも残業(正確には早出、時間外勤務)であることに違いはありません。
この話をすると、「始業時間には仕事を始めていないといけないのだから、早めに来て準備するのは当然だ」という人がいます。
その解釈は正しいです。
なので、たとえば「9時ジャストにオフィスに入って、PCの電源を入れて、その間にトイレに行って、コーヒーを入れて、再びPCを操作するのが9時5分」ではダメです。
ですが、「8時には出社して、トイレとコーヒーを済ませて、日経新聞に一通り目を通して、8時半からメールチェックをして、先輩とその日のスケジュールを確認して、9時には会議」という流れだとしたら、後半の30分は確実に時間外労働です。
繰り返しますが、この行動自体は立派です。
ただ、これも無意識的にやっているサービス残業ですから、これが習慣になっているような会社では、平日20日間×30分=10時間分の残業がランキングには表れてこないということを覚えておきましょう。
仕事の持ち帰り
これもよく見かけますけど、「残業している」という意識は少ないです。
つまり、仕事が終わらない→でも帰らないと電車が無くなる→パソコンや資料を家に持ち帰る→家で仕事の続きをやる、というパターン。
そして、もうひとつあります。
「20時以降は残業禁止」とか「水曜日はノー残業デー」と設定されていて、電気もエアコンも消されてしまい、会社じゃ仕事ができなくなる→だから家で仕事をする、というパターン。
在宅勤務制度がない会社だと、たしかに残業として申告しにくいのは事実です。でも、会社に泊まって仕事をしていれば残業代は出るはずし、何よりも仕事のために遅くまで頑張ってるんですから、これで残業代が出ていないとすると、事実上のサービス残業ですよね。
ただ、たしかに「在宅勤務は認められていないのに、『これ以上会社に残りたくない』という勝手な理由で帰宅した」という扱いにはなるので、残業代を稼ぐことが目的なら、会社で残業してタクシー代も請求するか、翌朝早く出勤するしかないです。
まとめ:ランキングの残業時間はアテになりません
前編の端数切り捨て&フレックスタイムの話と、今回の「隠れサービス残業」の話を考えたら、もはや「残業時間ってなんだろう?」という話ですよね。
有給休暇の取得日数ランキングにも書きましたが、この手のランキングは会社の実態をまったく表していません。
中には清廉潔白(笑)な会社もあるとは思いますが、こんなランキングを参考にするよりも、このサイトでプッシュしている「自分の強みを活かせるのはどこか」という観点で会社選びをして欲しいと思います。